赤ちゃんにとって暑さは命取りになりかねません。特に夏場は、熱中症などのリスクが高まります。重度になれば、大人でも生命を脅かされるものです。体力も少ない赤ちゃんにとって暑さは危険な存在だと考えましょう。
暑がりの赤ちゃんだと、春のぽかぽか陽気でも敏感に反応する場合もあります。ちょっとした暑さだからと油断せず、赤ちゃんのための暑さ対策を理解しておいてください。
- 赤ちゃんの暑さ対策! なぜ必要か? 主な理由や必要性について
- 赤ちゃんの暑さ対策! 暑い夏はサインを見逃さないように注意
- 赤ちゃんの暑さ対策! 暑い夏はサインを見逃さないように注意
- 室内での赤ちゃんの暑さ対策! 昼夜に注意したい3つのポイント
- お風呂やプールの入れ方や紫外線対策について
- 赤ちゃんの暑さ対策についてよくある質問
1.赤ちゃんの暑さ対策!
なぜ必要か? 主な理由や必要性について
どうして赤ちゃんは暑さ対策をしっかりしなければならないのでしょうか? 具体的に理解しておけば重要性に納得できるはずです。
1-1.体温調節が未熟なため熱中症や脱水症になりやすい
赤ちゃんは大人と異なり体温調節が上手ではありません。大人の場合、暑くなれば体から熱を外へ逃します。寒ければ、熱を体内に残そうとするのです。ただ、それは成長して備わった体の機能。赤ちゃんは体温調節機能が未熟ですから、上手にコントロールできません。
赤ちゃんは大人より一度、体温が高いという特徴を持っています。さらに、大人より3倍も汗をかくとされているのです。しかし、赤ちゃんは大人ほど体が大きくありません。暑さで大量に汗をかけば、簡単に脱水症が生じる可能性があるのです。
体温を上手に調節できないということは、暑いのに温度が体内に溜(た)まりやくなります。そのため、脱水症はもちろん、熱中症にも注意しなければなりません。
1-2.夏になりやすい熱中症や脱水症の具体的な症状は?
赤ちゃんの熱中症や脱水症対策のためには、それぞれの症状について理解しておくことも重要です。赤ちゃんの暑さ対策でも重要ですが、高齢者の介護を考える上でも大切な知識となります。
熱中症は体内の水分や塩分のバランスが崩れる、コントロールする機能にトラブルが起こって生じる障害と言えるでしょう。熱中症が起きる条件としては、外部環境と体の状態が関係します。気温が暑いときや運動などでは体温が上昇しやすいのです。
1-3.赤ちゃんは汗をかきやすいため脱水症になりやすい
脱水症は体液が不足することで起きる状態です。体液は酸素や栄養素を運ぶ、尿や汗として老廃物を体の外へ出す、発汗による体温調整などの働きがあります。体液がないと栄養と老廃物(ろうはいぶつ)などの交換もできません。
脱水症になると体液が減るため、栄養も体中に行き渡らず、老廃物が溜まってトラブルが発生すると考えられています。気温が暑い環境の場合、脱水症から熱中症や、熱射病へ進んでしまうため赤ちゃんと共に高齢者でも注意が必要です。
2.赤ちゃんの暑さ対策!
暑い夏はサインを見逃さないように注意
赤ちゃんの暑さ対策として、暑さを感じているときのサインや、チェックポイントを知っておきましょう。
2-1.赤ちゃんは暑がっているかも? サイン&チェックポイント
- 大量の汗をかいている(背中・わきなど)
- 通常より顔が赤く火照っている
- 手足が温かくなっている
- いつもより呼吸が荒い
主に上記のような症状が見られたら、赤ちゃんが暑がっている可能性があるため注意してください。見た目だけではなく、実際に手などで触れてチェックすることも大切です。赤ちゃんの背中やわきなど、服の中へ手を入れてチェックします。汗でじっとりとした感じがあるなら暑がっている可能性があるため注意が必要です。
首のシワを広げてチェックする方法もあります。シワを広げたとき、奥に赤い線が見える場合が。これは蒸し焼きのサインと呼ばれるもので、暑がっている可能性があります。
足の裏の温度をチェックする方法もあるため、触ってみてください。赤ちゃんの足の裏は、冷たい状態が普通です。しかし、眠気があるときや調子が悪いと温かくなると言われています。特に眠そうでもなく、調子も崩していない時、触れていつもより温かくなっていたら注意してください。体が熱くなり過ぎている可能性があります。
3.夏場の外出で特に注意したい!
赤ちゃんの暑さ対策7つのポイント
赤ちゃんが熱中症や脱水症にならないよう、外出時には対策をしっかり理解しておくことが大切です。難しいことではありませんし、対策をしないことでトラブルになれば生命に関わる大きなトラブルにつながります。外出時の暑さ対策を知っておきましょう。
3-1.外出時の注意点! 時間帯や服装や持ち物や水分補給のポイント
基本的に赤ちゃんを外出させるのはできるだけ控えたほうが無難です。それでも、外へ出なければならない場合もあるかもしれません。赤ちゃんとの外出時に注意したいポイントを解説します。
3-2.7月や8月の午前10時~午後14時の外出は対策をしっかりして
暑さは太陽からの赤外線が要因となります。1年を通し日本で一番暑い時期になるのは、7月と8月です。時間帯で見ると、午前7時ごろから徐々に気温は上昇し、午後14時や15時でピークに達します。午前10時から午後14時ごろは特に注意したほうがよいでしょう。
赤ちゃんへの悪影響を考えたとき、紫外線のことも無視できません。2015年に環境省が『環境保健マニュアル』を公表しています。紫外線が強くなる時期は7月ごろで、時間帯は太陽がちょうど真南にくる時間帯です。大体、12時~14時前後の時間帯は紫外線が強くなる時間帯なため、赤ちゃんとの外出はできるだけ避けたほうがよいでしょう。
3-3.服装は実用面を重視して汗も吸収しやすいものに
赤ちゃんの服装についても注意してください。基本は短肌着とプレオールで薄着を意識しましょう。汗が出ることを想定して、吸収する肌着を着せることをおすすめします。頭も太陽光が当たれば熱くなるため帽子もかぶせてあげましょう。
3-4.外出時の暑さ対策には保冷シートやうちわや飲み物の準備を
外出時には持っておきたいものもあります。保冷シートやうちわや扇子などです。他にも、赤ちゃん用の飲み物、水や麦茶などを用意してください。赤ちゃんが暑がったときに体温を下げ、脱水症対策となります。また、室内よりこまめな水分補給を心掛けてください。大体、30分~1時間の感覚で飲ませてあげるのがよいでしょう。
3-5.ベビーカーで外出するときの注意点や対策
夏場のベビーカーは屋根があったとしてもかなり蒸して暑いと考えてください。裸足(はだし)で歩いてみるとすぐに分かりますが、夏場のアスファルトはヤケドをしても不思議ではないぐらいに高温です。光の照り返しなどで、ベビーカー内は不快になるレベルの高温になっています。対策として、保冷剤などが役立つでしょう。
タオルに巻いたり巾着袋などに入れたりした保冷剤を数個、ベビーカーの背中部分に置くだけでOKです。もともと、保冷剤を入れるポケットが付いたベビーカーなどもありますから上手に活用してください。
3-6.夏場に赤ちゃんを自動車へ放置すると大事故につながりやすい
夏場、エアコンが付いておらず風も入らない車の中は、ダッシュボードが80度レベルになることも珍しくありません。黒色ボディーの車の場合、一番暑い時間帯で車内温度が約70度にもなることも。白色でも約60度レベルにもなります。
夏場はそのような高温になるため、短時間でも赤ちゃんを放置して離れないようにしましょう。何かしらの原因でエアコンが切れた場合、事故につながるからです。実際、毎年、車内に放置した赤ちゃんが亡くなっていたという事故は複数あります。
他に、自動車での対策としてはサンシェードを使用してください。チャイルドシート用や窓のサンシェードを活用すれば、日差し対策が期待できます。保冷剤などを使用することでチャイルドシートを冷やすのもおすすめです。それでも、赤ちゃんを車内に放置して買い物へ行くことは避けましょう。
3-7.抱っこ紐などを使っておんぶしたときなどの暑さ対策
抱っこ紐を使った抱っこやおんぶや、ママやパパの体と密着することになります。人間の体は熱いため、赤ちゃんに負担をかけても不思議ではありません。抱っこ紐を利用しているなら、自分と赤ちゃんの間に冷却シートを入れてみてください。
冷却シートを入れたものの冷たすぎると気になったら、タオルなどを入れるのもポイントです。暑さ対策とはいえ、抱っこしている人が冷たさを感じているなら、赤ちゃんも冷たいと思っている可能性があります。他にも、通気性にこだわった抱っこ紐にもしてください。
4.室内での赤ちゃんの暑さ対策!
昼夜に注意したい3つのポイント
赤ちゃんの暑さ対策では、室内でも油断できません。エアコンで室内温度をコントロールするだけではなく、さまざまな対策があります。ポイントをしっかり押さえれば、暑さ対策が期待できるでしょう。
4-1.室内ではエアコンを使った室温管理・服装・水分補給が大事
室内で赤ちゃんが快適な環境を作るには、最適温度、服装、水分補給がポイントです。最適温度を作るには、エアコンを活用してください。特に気温が高くなる地域ならエアコンは必要不可欠です。最適な室内温度は、25度~28度と言われています。極端に寒くても暑くてもトラブルが生じるため、この温度を保ちましょう。
服装は、ファッションや可愛’(かわい)らしさより実用的なものを選んでください。見た目も重視したい人は多いかもしれません。ただ、赤ちゃんの体調を考えるなら我慢しましょう。Tシャツやブラウスとハーフパンツの組み合わせが無難です。赤ちゃんは足の裏などにたくさん汗をかきますから、靴下も避けることをおすすめしましょう。
外出時と同じようにこまめな水分補給を心掛けてください。赤ちゃんは大人よりも汗をかき、脱水症になりやすいことを無視してはいけません。離乳食前の赤ちゃんなら、母乳やミルクもOK。他に、薄めた麦茶などおすすめです。
4-2.昼間エアコンを使用するときの暑さ対策
一日中、エアコンを付けるのも電気代のこともありますし、空気の乾燥を招きます。エアコンで室温をコントロールするのと同時に、1時間に一度、換気しましょう。
エアコンを使用するときは、赤ちゃんへ風が直接当たってないかどうかもチェックが必要です。エアコンの風が直接当たることで、肌や髪の乾燥やのどを痛めるリスクが高まります。
扇風機を使う場合も、直接的に、風がずっと当たらないようにしましょう。扇風機やサーキューレーターを使用することで、直接、赤ちゃんに風が当たるのを予防できます。
4-3.夜間眠るときはエアコン機能を最大限活かして布団にも注意
夜、寝るときも、基本は昼間と同じ対策を取ってください。エアコンの機能に、決められた時間で、電源が落ちたり付いたりするものもあります。タイマー機能を使い、1時間後や2時間後に電源が落ちるようにセットしてもよいでしょう。電源を落とすのではなく、逆に点(つ)けるタイマーもあります。夜、赤ちゃんのためにエアコンを活用する場合は、全機能を使うのがおすすめです。そうすれば、室温状態を快適に保つことが期待できます。
布団の素材は、ガーゼ、タオルを選ぶことを意識してください。首までしっかり布団をかけるのではなく、お腹辺りに少しかけるだけにしましょう。
5.お風呂やプールの入れ方や
紫外線対策について
赤ちゃんの暑さ対策として、他にもプールやお風呂へ入れる人もいるでしょう。ただ、プールについても、大人の基準に合わせてはいけません。かなり暑くても、水道水では冷たすぎる可能性があります。プール遊びをさせているときも、時々、体に触れてください。体が冷たくなっていたら、休憩させるようにしましょう。
プールの水温は30度程度を目安にしてください。ぬるいぐらいの水温が赤ちゃんに適しています。時間も、あまりに遊ばせると体力が減るため、30分を目安にしましょう。
5-1.お風呂に入れて汗を取り清潔さを保とう
赤ちゃんはぷりぷりとしたお肌ですが、実はよく汚れます。新陳代謝がよいため、基本的に毎日、お風呂へ入れたほうがよいでしょう。汗や皮脂で汚れていると、あせもなどの肌トラブルにつながる場合があります。
夏場のお風呂に関しては、シャワーで汚れを洗うだけでなく、濡れタオルで拭き取ることも大切です。また、シャワーだけでなく、湯船に入れるようにしましょう。首周りなどは汚れやすい部分ですから清潔にしてあげてください。
5-2.紫外線は赤ちゃんにもダメージを与える
暑さは赤外線が大きな要因です。ただ、外出時には紫外線のことも考えておかなければなりません。紫外線は赤ちゃんに大きな悪影響を与える可能性があるからです。
紫外線の中にはA波とB波のふたつがあります。A波は波長が長く、人間の肌の奥まで到達可能です。長時間浴びると、シミやタルミのような光老化につながると考えられています。一方のB波は強いエネルギーを持ち、肌が赤くなったり、水ぶくれを引き起こしたりする要因と言われているのです。ただ、A波と異なり、オゾン層や雲を通り抜けられないと考えられています。
紫外線はカルシウムを骨に取り込むときに必要なビタミンDを作る働きを持っているのは無視できません。ビタミンDが不足すると、足の骨が曲がる、くる病のリスクが高まると言われているのです。紫外線もすべて悪いとはいえないですが、当たりすぎるのは問題でしょう。そのため、外出時には、UVケアをしっかりすることをおすすめします。
5-3.UVケアによる紫外線対策について
暑さと同じく、紫外線量が増えるのは午前10時~午後14時ぐらいと考えてください。暑さと共に紫外線対策を行うなら、外出を控えたほうがよいでしょう。また、時期で考えると、紫外線量が特に増えるのは4月~9月辺りです。この時期にどうしても出かけるなら、UVケアを赤ちゃんにもしてあげましょう。
5-4.赤ちゃんに優しいUVケア製品選びのポイント
赤ちゃんの肌はデリケートです。UVケア製品は肌に負担をかけないものを選んでください。赤ちゃんの肌に濡れるものは、大人にも対応しています。ママやパパも使えるようなUVケア製品を活用するとよいでしょう。
UVケア製品でチェックしたいポイントは含まれる成分です。紫外線を肌に届かせないよう反射させる、紫外線散乱剤と、吸収して熱など他エネルギーに変換させて肌の奥まで侵入することを防ぐような紫外線吸収剤があります。
肌に優しいのは紫外線吸収剤が配合されていないものですから、赤ちゃんに使用するUVケア製品を選ぶときにはチェックしてみてください。紫外線吸収剤が含まれていない製品には、ノンケミカルと表示されている場合があります。また、防腐剤やシリコンなどが含まれていないかどうかも成分表を見てチェックしたほうがよいでしょう。
6.赤ちゃんの暑さ対策について
よくある質問
赤ちゃんは弱い存在だからこそ、暑さ対策についても不安になることは多いはず。赤ちゃんの暑さ対策でよくある質問と答えをご紹介します。
Q.暑さ対策をしないとどんなトラブルになるの?
A.汗が出れば肌荒れにつながります。汗が出た状態で、夏場、冷風を浴びれば風邪を引きやすくなる可能性も十分にあるでしょう。また、車内や室内でも温度調整を無視すると生命を脅かす可能性もあります。
Q.どうして水分補給が大事なの?
A.日差しが強い夏場などは、熱中症や脱水症のリスクがあるからです。汗をかくことで体内から水分が減ったとします。水分補給をしなければ水分不足に。最終的に熱中症となれば、多臓器不全などの発症から生命の危険につながるため水分補給は本当に大切です。
Q.脱水症状や熱中症など見極めるポイントはある?
A.赤ちゃんがもし発熱しているなら、脱水症を通り越して熱中症の可能性があります。脱水症は逆に体が冷えると考えられているからです。ただし、高熱で汗が出て脱水症につながる場合もあるため注意してください。また、脱水症から熱中症に進む場合、冷えていた体が熱くなる流れとなります。迷わず一刻も早く医療機関へ連れて行ってください。
Q.暑さ対策を考えた上でベビーカー選びのポイントはどんなものがある?
A.通気性、保冷剤を入れられるポケットやマットがあるかはもちろん、紫外線対策として日よけなどがあるようなベビーカーをおすすめします。ただし、ライフスタイルも考えてください。赤ちゃんを守るためには、デザイン性よりも安全性を考えるなら、タイヤが大きいものだと安定します。交通機関を多く利用するなら、コンパクトなものも選択肢に入れてよいでしょう。
Q.エアコンを使っているとき、赤ちゃんの様子で注意したいことはある?
A.こまめに赤ちゃんの体に触れて、体温をチェックしてください。触れたとき、体が冷えている、あるいは汗をかいているなら温度調整をしましょう。体が冷えているなら、エアコンを切って、外と部屋の空気を入れ替えてください。暑さで汗をかいているようなタオルで拭いてあげましょう。服も着替えさせる、エアコンの温度も調整してください。
まとめ
赤ちゃんは大人と違って体のシステムがきちんとできあがっていません。そのため、夏場など暑い季節は、体温調節を自力で行うことがむずかしいのです。だからこそ、パパ、ママはもちろん、ご家族が協力して暑さ対策を意識して行う必要があります。外の気温が高ければ体温も上りますし、寒ければ下がってしまうのです。
生後8か月ごろからようやく体温調節ができるという話もありますが、やはり、大人と同じように考えてはいけません。暑さ対策をきちんとすることで、脱水症や熱中症など、生命の危険にもつながる重大なトラブルを回避できます。くれぐれも注意してください。