チャイルドシートは、子どもの安全を守るために必要不可欠なものですが、正しく使わなければ意味がありません。実は、正しいと思っていても、誤った使い方をしているケースがあります。今使用している方は改めて使い方のポイントをチェックしましょう。これからチャイルドシートを使用する方も、正しい使い方を知ることが大切です。本記事では、チャイルドシートの使い方とポイントを解説します。
この記事を読むことで、チャイルドシートの正しい使い方とチェックポイントが分かります。気になっている方は、ぜひチェックしてください。
1.チャイルドシートはいつから使うべきか?
「いつからチャイルドシートを使うべきなのか」「なぜ必要なのか」と疑問を感じることが多いでしょう。まずは、チャイルドシートの使い方で大切なポイントを押さえておきたいと思います。
1-1.チャイルドシートは乳幼児の体を守るために必要
チャイルドシートは、車の走行中に生じる危険から幼児の身を守るために安全ベルトがついた幼児専用の座席です。チャイルドシートにきちんと乗せて走行したときと使用していないときを比較すると、なんと、使用していないときの致死率が30倍になるといわれています。2004年4月の道路交通法改正により、6歳未満の乳幼児はチャイルドシートの着用が義務化されました。そのため、公共交通機関のタクシー以外は、たと友人の車でも赤ちゃんをチャイルドシートに乗せなければなりません。
1-2.チャイルドシートは新生児から必要
「いつからチャイルドシートに乗せるべきか?」という疑問が最も多いのですが、まだ体が発達していない赤ちゃんにとって、車の振動はとても大きく、チャイルドシートで軽減しなければなりません。前述したとおり、法律で6歳未満の幼児は着用が義務づけられているため、新生児からチャイルドシートの着用が必要となります。「まだ赤ちゃんだから」「膝の上に乗せるから大丈夫」という理由で、チャイルドシートを使わないのは非常に危険なので、絶対にしないでくださいね。
1-3.チャイルドシートの主な種類と特徴をチェック!
チャイルドシートにはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴があることをご存知でしょうか。チャイルドシートと呼ばれているものは、子ども用のカーシートの総称です。実際の製品としては、以下のような分類がされているのでぜひチェックしてください。
- 新生児・乳児用ベビーシート:新生児から1歳ごろまで使用する
- 幼児用チャイルドシート:1~4歳まで使用する
- 学童用ジュニアシート:3,4~6歳ごろまで使用する
大まかな分類は上記のとおりですが、ほかにも1歳半~4歳ごろまで使用できるベスト型・簡易型のチャイルドシートもあります。ベスト型や簡易型は、旅先などで使えるセカンドシートとして大活躍するでしょう。しかし、2012年に施行された新安全基準には適合しないため、構造的にも安全性を追求したものとはいいにくいのが現状です。
2.チャイルドシートの正しい使い方
それでは、チャイルドシートの正しい使い方と月齢別のポイントを解説します。
2-1.設置場所は後部座席が基本
チャイルドシートの設置場所は、車の後部座席が基本です。運転中でも手を伸ばせる助手席に設置している方を見かけますが、助手席は事故の影響を受ける確率が高いので設置しないでください。特に、エアバッグつきの場合は、エアバッグの衝撃を子どもがそのまま受けてしまうことがあります。設置するときは、シートベルトできちんと固定することが大切です。固定されていない状態では、チャイルドシートそのものの機能を果たしません。具体的な設置方法は、チャイルドシートの種類によって異なるため、取扱説明書を一読しておきましょう。
2-2.赤ちゃんを正しい姿勢にする
チャイルドシートに乗せる子どもの角度は、水平から約45度の角度が理想だといわれています。この角度は、子どもにとって最も負担がかからない姿勢になるのです。特に、乳児の場合は、頭が前かがみにならないよう、気道の開通を妨げないようにするために必要な角度となります。首がすわるまで乳児は約45℃の角度を保たなければなりません。もし、45℃まで達しない場合は、タオルなどをチャイルドシートの下に入れて角度を調節しましょう。
2-3.月齢別の使い方ポイント
生まれたばかりの新生児は、チャイルドシートの取付方向が決まっています。日本小児科学会によると、「衝突時の頚椎(けいつい)損傷を減らすため、少なくとも1歳をすぎ、かつ体重が10kgを超えるまで子どもは進行方向後向きに乗せる」と推奨しているのです。チャイルドシートの背中部分は広い面積を持っているので、新生児の頭・首・首全体を支えることができます。
また、身長140cmぐらいまではシートベルトが正しい位置で着用できません。そのため、学童用シートを活用し調節します。
3.正しい使い方のチェックポイント
実際に、正しくチャイルドシートを使用しているか、ポイントを押さえながらチェックしてみてください。
3-1.シートベルトにねじれやゆるみがないか
シートベルトを子どもに着用させるときに、ねじれやゆるみがないか、チャイルドシートの下のほうを持って力いっぱい動かしても前後左右にグラつきがないか確認してください。もし、ねじれ・ゆるみ・グラつきがある場合は、きちんと固定されていない証拠です。固定器具をつけ間違っている可能性もあるので、取扱説明書等でもう1度確認してください。きちんと固定されていない状態でなければ、事故の衝撃を防げません。
3-2.新生児を乗せるときのチェックポイントは2つ
新生児をチャイルドシートに乗せてバックルをセットしたら、調節用ベルトを引っ張り、子ども用ベルトのハーネスを調節してください。この調節の際にぜひ押さえてほしいポイントが、新生児の体にぴったりとフィットさせてあげることです。
また、新生児の肩とハーネスにすき間ができないように、ハーネスの高さを調節するのも大切なポイントとなります。肩をぐるりとまわり込むよう、ハーネスの高さを調節し、赤ちゃんが上方向に動かないようにしてください。
3-3.そのほかのポイントをチェックしよう!
ほかにもさまざまな点で気をつけておきたいチェックポイントがあります。主なチェックポイントを以下にまとめたので、ぜひ確認してください。
- 子どもが足を頻繁に動かしていないか
- 可動部に手や指を挟まないように注意しているか
- 製品内部から異音がしていないか
- 製品指定以外の仕様へ変更していないか
- インナークッションの使い方は適切か
- シートベルトをはずして使用していないか
子どもが足を頻繁に動かしていると、足にすり傷などができる場合があるので靴下を履かせたり、チャイルドシート本体や車の内装部分にタオルをかけてください。また、製品内部から異音がしている場合は、製造メーカーに問い合わせて修理を依頼したほうがいいでしょう。
3-4.子どもの成長にあわせてチャイルドシートも変える
子どもの成長スピードはとても速いので、いつの間にか使用していたチャイルドシートが窮屈になってしまいます。体に合っていないチャイルドシートを使用すると、子どもの体が圧迫されチアノーゼを起こす恐れがあるので注意してください。また、チャイルドシートは各製品によって標準使用期間が決められています。たとえば、新生児~10k未満を対象としたチャイルドシートは使用期間が5年です。必ず標準使用期間を守りましょう。
4.チャイルドシートの使い方の注意点
チャイルドシートを正しく使用するためにも、注意点と危険性のある間違った使い方を把握しておきましょう。
4-1.誤った使い方をするとどうなるのか?
チャイルドシートの間違った取り付け方や使い方は、正しい使い方よりも致死率が約30倍、死亡重傷率が約6倍になるといわれています。内閣府の平成28年版交通安全白書によると、間違った取り付け方や使い方をしている人が半数を上まわっていることが分かりました。「みんながそうしているから」「親がそのように使っていた」などの理由で、当たり前にしていたことが誤りだと気づくまで時間がかかるのです。最悪な状態を防ぐためには、今の使い方を再確認する必要があるでしょう。
4-2.腰ベルトの締め付け不足
間違ったチャイルドシートの取り付け方で多いのが、腰ベルトの締め付け不足です。もし、チャイルドシートを座席に固定したときにグラつきがある場合は、腰ベルトの締め付けが不足している証拠となります。チャイルドシートがグラつくと、衝突時に子どもが投げ出されてしまうので注意しなければなりません。また、座席ベルトの通し方の間違いもよくあるので、取扱説明書に従って正しく取り付けてくださいね。
4-3.車両座面形状との不適合
チャイルドシートの間違った使い方は、取り付け方だけではなく、車両座面形状との不適合が問題になっていることもあります。車種によっては、座席の角度・深さ・やわらかさが異なり、チャイルドシートがグラついたり、取り付けにくかったりするのです。座席とうまく合わない場合は、取り付け確認車種のリストをチェックし、適合したものへ買い替えましょう。
4-4.体格の不適合による問題も多い
成長にあわせたチャイルドシートの使用が好ましいですが、「もったいないから」とそのまま使用するケースが非常に増えています。子どもの体格によって使い分けなければ、チャイルドシートそのものの機能が発揮できなくなるのです。乳児用・幼児用・学童用と3段階に分けてチャイルドシートを使用しましょう。
5.チャイルドシートに関してよくある質問
チャイルドシートに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.チャイルドシートの選び方のポイントは?
A.子どもの体格や車種に適したチャイルドシートかしっかりと確認することです。たとえ、友人や知人からもらったものでも、子どもの体格と車種に適したものでなければ意味がありません。また、安全性に特化した構造か、快適性能・ファブリックの素材などにも注目するといいでしょう。日本のメーカーは海外製よりも縫製や樹脂加工の品質に優れているのでおすすめです。
Q.価格の違いはどのような差があるのか?
A.安価なものから高価なものまでありますが、価格の違いは機能の差となります。価格が高いほうが安全性に優れているイメージが強いでしょう。基本的に、運輸省の安全基準に合格したチャイルドシートには、認定マークが表示されているものです。気になる方は、認定マークが付いているかどうか確認してから購入するといいでしょう。
Q.新生児をスムーズに乗せるコツは?
A.新生児をチャイルドシートに乗せる前は、ベルトをすべてはずし、1番ゆるい状態にしておくことです。そのほうが、新生児を上手に乗せることができます。また、ワゴン車などスライド式のドアの場合は、乗せやすいですが、横開きの場合は、ドアのフレームが気になるでしょう。できるだけドアを全開にし、新生児の頭を先に車内に入れてください。
Q.子どもがチャイルドシートを嫌がる場合の対処法は?
A.チャイルドシート快適グッズを活用しましょう。たとえば、チャイルドシートにつけるヘッドサポーターやネッククッションなどがあります。これらをプラスすることで、新生児の頭や首がしっかりと固定できリラックスできるのです。
Q.チャイルドシートに乗せる際の注意点は?
A.洋服を着せすぎないようにしましょう。厚着をすると、洋服のふくらみできちんとベルトで固定できなくなってしまいます。また、おくるみなどははずし、暴れてもベルトをゆるめてはいけません。
まとめ
いかがでしたか? チャイルドシートは使い方によって、機能が発揮せず、逆に子どもを危険にさらしてしまう恐れがあります。まずは、正しい使い方をマスターすることが大切です。そして、機能性が長く維持し続けられるように、保管と手入れも入念にしておきましょう。正しく安全に使うためには、取扱説明書をきちんと読んでおくことも重要なのです。面倒に感じず、子どもの安全を守るためにも、もう1度目をとおしてくださいね。